知床を知れ!

藪に一度入れば、そこは完全に下界とは隔絶された世界へと変貌を遂げる。周りに登山者などいるはずもなく、ただただ眼前には藪が生い茂る。
藪をこぐという事はすなわち、自己との対話だ。
しかし時には、自己との対話のあまり正気を失ってしまう事もある。
ある者は寝言で「熊が出たー!!」と叫び、ある者は存在しないはずの木の実を食し、ある者は起床時間の存在しない下界でも「起床」と叫んだという。
これらは藪の魔力によるものだ。
そう藪の恐ろしさとは、生い茂る藪に在らず。自分自身の中に存在するのである。

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